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一部執集

― 怠慢と追求の巧い駆け引き ―

ほろ酔ってるので、ほろ酔った陽気な気分でちょっと思い出を振り返る

俺が海外のバンドに走った一番最初は、実はAmerican Hard Rockがそもそもの発端。

昔からBON JOVIはよく聞いていた。当時は全然容量のないポータブルプレイヤー。2Gしかねぇ。それでも親からのなけなしの金で買ってもらったやつ。だから通学時毎日ショートしそうなくらい聞きまくってた。そこに入ってた曲はポルノがちょっとと、そのBON JOVIの2枚組ULTIMATE HITS

俺は地元のTSUTAYAで、学校の帰りに日課の如く、狂ったようにEXTREMEやらSKID ROWRATTにPoison、QUIET RIOTとかばっか聞いてた時があった。

そんな中でも俺が飛び抜けて印象深い、そして多分墓場までこの記憶は持って行くことになるだろう、ってくらい忘れられん衝撃的な出逢いがあります。

他でもない

 

▼GUNS N' ROSES。▼

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APPETITE FOR DESTRUCTIONを聞いた時、言葉には出来んくらい何かスゴい脳裏に焼きついたサウンド。

次々と降りかかる降りかかる、畳み掛けるバンドサウンドの嵐。

うねるうねる、“歌”いまくるギター豪雨。至極最高冥利に尽きる。

しかしまぁ、他人がよく言う、あのバンドを初めて聞いた時に走る「衝撃」「インパクト」とかとはまた違う何か。

正統派のアメリカンなハードサウンドやメロディとはちょっと違う捻くれた、取っ付きにくい曲想。何だろう、俺の知ってるアメリカンサウンドとは全然違う、ちょっと変態チックで変則的な音。ヘン。でもなんだろうこの、聞けば聞くほど抜け出せられない感じ。何ていうか、ビールが美味いと感じ始める刹那瞬間にちょっと近いかもしれない(余談だがAEROSMITH初めてちゃんと聞いた時も似たような感覚を得た気がする)。

でもってそのバンドの凄いところは、サウンドや表現や発言こそ破壊的で暴力的で、攻めに攻めまくるものの

実際その裏でやってること、個々のメンバーの受け継いでるものが超プリミティブでとっても古典的。

 

GUNSが出てきた当時チャートを埋め尽くしていたグラムメタルと呼ばれたジャンル。

誰もがこぞって、ギラギラ見た目や装飾を派手にし、ヴィジュアル面に凄い磨きをかけた見栄えの極めて派手な、そして音はと言えばすげーキャッチーでポップなバンドが世を席巻していく80年代アメリカ。

ギターにしても、VAN HALENがヒットしギターロック界を根こそぎ引っくり返した時代。そのバンド率いるEdward Van Halenが改造に改造を重ね、Stratocasterにハムを乗せ、ロック式トレモロアームFloyd Roseが乗った今まで見たことのない斬新な姿に変貌したギターを持ち、前代未聞な手法でテクニカルなサウンドを前面プッシュし世を席巻してからは、昔ながらのGibsonFenderなどのトラディショナルな機材は徐々に影を潜め、それに憧れる当時の若者ミュージシャンのニーズに合わせてJacksonにKRAMER、DEAN、ESPなどの斬新なギターを作るブランドが続々立ち上がり、そしてそういうギターが若者の間で瞬く間に流行る。

 

そんなムーブメントに一喝を入れたのが、誰あろう「GUNS N' ROSES」なのです。

 

かつてまでのキラキラしたアメリカのHR/HMムーヴメントから一新、

無骨に硬派に、レザーやデニムを身に纏い

昔ながらのオーセンティックなVintageのGibson Les Paulを、Fender Precision Bassを、超低い位置でワイルドに掲げ

AEROSMITHAC/DC、KISS、QUEENJimi Hendrix、ZEPPELIN、Stonesなどの伝統的な先代のバンドの影響の下、爆発的にして攻撃的なサウンド、言葉、放送コードスレッスレの言動や佇まいでJack Danielの酒瓶片手に暴れ倒すその様

これぞまさに80年の最後で全世界に話題を、波紋を呼び、そして影響を及ぼした所以です。

言わずと知れたあのバンドの“悪”さやスキャンダル、遅刻常習犯、クスリ問題、ヒモの話、暴力沙汰、ヒッチハイク、諸々そんなことをも話し出すと延々話し込んでしまうし色々ありすぎてほんとキリがないのでこの辺でやめとくけど、

 

そのバンドの姿が、ある時俺の脳内の潜在意識にまで焼き付いた決定的な瞬間があるんです。

「November Rain」「Garden Of Eden」「Since, I Don't Have You」という曲があります。有名です。

それでですね、ある場所に行ったんです。

 

友達と、親以外の人と初めて訪れる、「京都」

その時が今の俺の京都フリークの引き金になる記念すべき1度目の京都探訪。あの日は忘れもしない。

冬。しんしんと降り止まない雪。幸いにも学校から最寄の在来線で乗り継ぎなしで1本で行ける。

あれは土曜、学校は午前中まで。友達から京都へ行こうと誘われた午後。

着くや否や皮膚が剥がれるかのような寒さ。道の路肩には何となくシャーベット状になって砂利交じりの雪が残る。

そんな中俺たちの向かった先は、まあー楽器やってる京都民なら知らない人はいないであろうそこそこ有名な楽器屋「JEUGIA」。

 

もともとGUNSは、聞いていた。ガチで好きだったし、というか既にさっきのアルバムもそん時は持ってたと思う。

店内のレジ上に吊ってる液晶モニターに延々垂れ流しのようにBGM代わりのように流すGUNSのPV。

多分「Welcome To The Video」のDVDをずっと流してたんだと思う。

脳裏に焼きついている、俺が目にしたあのNovember Rainの最後。

曲が終わったかと思うと、一転、

ネルシャツにデニム、ウェスタンブーツルックスでLes Paul下げたSlashが、あの家一戸買えるクラスのとんでもない超高級グランドピアノ「STEINWAY&SONS」の上におもむろに乗り、クライマックスで大股開きで式場に轟かせる号泣ギターソロ。

あのメロディー、パンチが凄くて、王道でグイグイ泣かせてくるかと思ったらまた裏切ってくれる。独特なコード進行。スケール途中そう行く?って言いたなる所はまさにGUNSの専売特許。直球ばかりで終わらせない、目を見張ることだらけ。

 

なかでも一番印象に強いのはやはり「Since I Don't Have You」。

この人らほんまに、博識というか、ロックに留まらず本当多岐に渡って音楽を食べ尽くしてきた人らだな、と、

それは後になって分かった話だけれども、

知る人ぞ知るAmerican Oldies。ドゥーワップグループ「The Skyliners」の名曲を、ロッカバラードにアレンジ。これはホントにたまげた。

Slashのイントロのリードの、いわゆる底抜けな「生」感。

ビデオというメディアのフィルター越しでも分かる、目の前で弾いてるような臨場感。

あんなサウンド、俺はかつて聞いたことがない。

まず凄いのが、

ギターのレコーディングは、大体がマイクで拾ってその音を録ろうとする時、サンハイでキュー出て弾き始めの前のホットタッチ音、弦がピックに思わず触るノイズなど、そういう雑音は曲を1曲録るに当たって出来るだけ避けて、音として残らんように処理するのが当然の掟のようになってる。

でも偶然か必然か、この曲では凄い。ノイズ乗ったそのまんま突如弾き始めるから、所謂「生」感、実際そこで目の前で弾いてる感が尋常じゃないくらいビリビリ伝わる。

80年代後半に出てきたモダンな、しかもガシガシ攻め立てるようなサウンド主体のバンドがこんな昔ながらのドゥーワップをやると言うギャップ。そこが恐れ入る。間口が広すぎる。

 

「Garden Of Eden」もほんま笑った。これもまぁーーーー、一生忘れんやろう。

その後何度も京都に行くことになるんだけど、GUNSのシーズンなのか、冬の間しばらくGUNSのPVばっか流してた。

で友達とその楽器屋行くやいなや毎度目にする「Garden Of Eden」のPV。

一つの魚眼レンズにメンバー全員が群がってひたっっっすらに弾きまくるってやつ。

連れと「あーまたDuff McKagan入りきれてない…」「あーまたAxlに取られてる、Slash置いてけぼりや」とかブツクサ良いながら談笑してたのはついこないだみたいってぐらい。

あのソロパートも格別で、後ろでストイックになってるマシンガンリフ捌きがいつになくメジャーな線を貫いてるのがビックリ。でもエモい、メロいリフに乗っかるソロ。あのコード進行でのソロに影響されて、ああいうエモくハードなソロよく考えてたりした。

てかほんま、ソロ一頻り弾き倒した後のSlash最後定位置に下がった後にダルそうにギターのボディのケツ持ってヘッド逆さ向けてギター揺らすあの一瞬の動作があまりにも好きすぎて、

…………今もよく真似します。

 

前に久々に逢った連れに「これ聞くと京都思い出すねん」っていうた時「何でやねん」って超怪訝な顔された。

記憶ってそういうもんでしょ。他人からは滑稽に思えるもんも自分からすると笑い事じゃなかったり。

 

何であれ俺はやっぱりこの3曲聞くとどうしても、

究極に寒かったあん時の京都を、あの楽器屋を思い出してしゃーない。

 

でも

どれもこれも、言うなれば「今でこそ」、感慨深く語れる思い出話。

 

よくありますよね、かつてあの時見た、聞いた、触れた物やことの数々は、その時その時は何でもない、ケースによっちゃどうでもよく思ってたものも、

大分年月経ってから何かのタイミングでパッと思い返すと「嗚呼あの時あんなことがあったなあ」なんてシミジミすること。

俺の場合も実際そうで、

その時はほんと、どのPVもぶっちゃけた話「たまたま目に入った」だけのもの。

別にその映像に浸ってその場から動けんなって釘付けになってたわけでも何でもない。「あ、GUNS流れてるわ」くらいのもん。

でもなんか、Since I Don't Have Youなんか特にそうで、これも今だから言える感想でしかないけど、

あのどことなく寂しさが含んだメロディがメロディなだけに、

凍て付くような焼けるような寒さと、何かが……かぶったんやと思う。分からんけど。

かぶる要素が何か、あったんやろう。

でも人間の記憶って奇妙なもので、何かを必死で覚えようとすればするほどことごとく頭に入らない、逆に言うとその時見たもの聞いたことの殆どが何気ない、どうでも良かったものほど、実はすげー隅っこのほうで、しつこいぐらいへばり付いてたりする。その時の背景とかが尾ひれになって。

 

だから、俺の1本のLes Paul、ストラップやたら長いです。

筋金入りのMarshall狂です。

ティアドロップのサングラス大好きです。

Tシャツがマキシマムサイズです。

 

いつまでたっても、侵されてます。

World On Fireのアルバムかっこいい。欲しい。