一部執集

― 怠慢と追求の巧い駆け引き ―

たとえそれを嘲笑だ酔狂だみたいな意味を含めて「性癖」などと呼ぶのなら、ならもう性癖で良いですよ。逆に喜ばしく有難いお言葉ですよ。

古い建築物、とはいえモダン建築の部類に入るんやけどそういった物、

老舗の古本屋、レコード屋の、その入り口の重いドアを開けた瞬間

そしてその古本やレコードを手に入れ、持ち帰って表紙やスリーブの中覗いた瞬間

充満し立ち込める匂い

 

諸君

 

そんなもんが、

 

PCや携帯から全部もれなく堪能できるとでも思っているのか。

 

何もかもが指先一つで手に入る時代。

 

長い長い年月日をかけて色んな人間の手に渡り、そして自分の手元に届く。

 

レコードにしたって古本にしたって同じだ。

 

PCや携帯で、指先ちょっと動かすだけで好きなものが簡単に手に入る時代

 

LINEが爆発的に流行して以来、人と人との距離が格段に近くなった。

携帯で、いつでも気になったりした人と気になったその時にいつでも人と交流が持てる。

でもそれは交流が持てた「気がしている」だけ。

人と目を合わしていない。同じ空気を吸っていない。好きな人との体温や温もりを感じていない。

全ては液晶上で行われていること。

スマホの液晶を触れれば、相手の温もりが伝わるのか。

相手と目なんか合わせれるわけがない。その目が向けているのは何でもないただの液晶やからなぁ。

ビデオ通話にも、ぶっちゃけた話全く同じことが言える。そこにあるのは、相手の顔を写しただけの何でもないただの液晶。色とりどりにRGBが入れ替わてそう見えてるだけのただの液晶。

 

だからやろ。LINEでの「既読スルー」問題が横行しているのは。言うて最近あんま耳にせんなったけど。

自分の都合良い時すぐに相手と連絡がとれるもんやから、相手の都合お構いなしに連絡して相手がちょっとでも連絡がこんなった、たったそれだけの理由でお互いの仲に支障きたすっていう。くだらねー。

なんッて非常識かつ自分勝手なお人なんでしょう。

自分と同じ時間に起き、飯を食い、便所に行き、同じ時間同じ場所に学校や職場に通い、同じ時間に岐路に付き、飯を食い、風呂入り、同じ時間に床に付く。

暗に相手にそこまで強いてるよな。

自分と、連絡取りたい相手、分秒コンマ00単位で自分と全く同じ動きを強要している。マジで。

そこに否定の余地ねえからな。自分の胸に手ぇ当ててよく考えろ。

人のタイムラインの返信読むだけ読んどいて、相手は用事で都合が付かずそこに対する実際の返信が、しかもたかだか5分10分遅なっただけで詰問地獄に合う、最悪の場合関係に傷を作る、ってのはそういうことよな。

新手のサイコ野郎か何かだな、うん。

 

情緒がないよな。

何でも手軽さ+利便性至上主義に成り下がって。スタートとゴールが結びつきゃ何だって良い、ゴールに至るまでの過程なんてまるで不必要、そんなもんあって何の意味がある?

そんな時代。

月々のサブスクリプションを支払って家のテレビで映画とかドラマとかアニメとか引っ張れるようになったらTSUTAYAとか行かんですむやん?いちいち交通費使って店行って、最近は実際のレンタル料金も安なってるけど、んで期限に返し忘れたら延滞金、ってほんま馬鹿馬鹿しい、みたいなことを誰かが言うてたけど

でも、別にそれはそっちで勝手にやってくれって話で、俺は誰が何言おうが店に行く。誰かに引き止められようが、出向く。

 

あんたらみたいな人が日本にいっぱいのさばっとるから、

やれ今の音楽界はだのやれ今の映画界はだの言われるんやろがい。

実質、俺らが小学生の頃ぐらいのような爆発的興行収入得た実写映画とか、ほぼ一摘み、

ましてや音楽のミリオン・セラーなんて、夢のまた夢と化してんじゃねえか。

Rock'n'Rollは死んだ、なんて今の世の中常套文句だけど、誰が殺しとんねん誰が、て。

 

 

音楽を聴く、映画を見る、本を読む、って

 

そういうことじゃないんですよ。

 

聞けるもの聞けたらそれで良い、

 

見るもん見れたら、読めるもん読めたら、それで良い。

 

電子書籍なんてあるやん?

 

違うよな。もう、根本から間違ってるよな。

 

日本の歴史の一つとも言われる純文学を電子書籍とかって携帯とかで読む時代だろ?

 

狂ってるよなあ間違いなく。

 

人間が長い時間かけて培ってきたものが、デジタルの全てを凌駕出来るわけがないのよ。

 

人間の肌、血と汗、温度、そこに含まれる空気、時間

人の手だけの、まさにアナログで、生な、リアルな手段でしか出来上がらんもの。

 

欲しい何かを手に入れるために、自ら足を運ぶ、そこで手に入るもの。触れるもの。

 

絶対に金に変えれん、金以上の何かがそこには絶対あって、

 

ある意味、

デジタルだと金さえ積みゃ何でも買える

 

それに比べ、

 

絶対的にそうはいかない、いくら金積んでもどうにもならない

 

金銭なんか、言ってしまえば金銭『如き』がそこに介入する余地のないもの

 

そこをよく考えろよって話。

 

まぁ古本やレコードの、あの長いこと放置されて沸いたカビの匂い自体を、良いと思うかどうかは置いといてだな、

 

そういうアナログならではの現象、古ぼけた本や大昔のレコードのブックレットやスリーブのあの独特の匂いなんて、

手にとって、封切って、開いて初めて嗅げるものやろ。

 

まぁ凄い良い話もあって、まぁーそういう意味では、『流行』『トレンド』っていう性格は、常に今とは違う別の何かに触れたくてしゃーないのか何なのか。。。

 

流行物をやりつくした連中か、そもそも俺みたいに捻くれで元から完全に好いてない奴らなのか、

 

【何十年も前に日本で流行った物が今再認知されてる現象】

 

バブル人気再来とか、一番分かりやすい例よな。

荻野目洋子さんのヒット曲を登美丘高校のあの子らがダンス曲で起用して、曲もバブリー、ナリはマハラジャ、そういった子らの人気が全国区になったのは、やっぱりそういうことなんかも分からんよ。

だって、その辺のことにはなから興味なかったらここまでなってない思うもん。

今にない、斬新さ。その時代に生きてない奴らからしたら逆に全くの異次元、新世界。

まぁバブルが何だ、とか、かつてに流行ったものやからどう、とか言うことを考える以前に多分、

見てくれもケバケバしいし、凄い派手やしってので、ただ単純に物珍しさ一心で好んでるのも半分くらいは居そう。

そりゃそうよな。今もう全く見ないもん。かくいう俺も全く知らん世代やし。

までもそれでも良い。きっかけなんて十人十色で良い。今のこの流れで、そういった時代にはあって今はもうほぼ忘れ去られてる物とか、そういうものがまた今の「新しい物」として返ってくるのは素晴らしいこと。

ファッションにしても約10年周期でトレンド回り回ってかなり昔に流行ったもんが今若い女子らの間で人気になる、みたいな、あるやん。多分似たようなことなんやろうな。

ネガとか写るんですが、最近の女子の間で人気出てきてたり。

レコード人気再燃、とかも、もはや日本のみならず世界中で再注目されてるみたいで、

ちょこちょこ開催されるレコード市みたいなのも、今や日本だけじゃなく世界中の至るところで展開されつつあるとか。

ここ数年ずっとCDばっかしか作ってなかったレコード会社も、何年ぶりかにまたレコードのプレスし始めたなんて話も聞くし。

果てはこんな話もあって、

記事かなんかで見たけど、日本を一世風靡した、あの『LINE』でさえ、どっかの地域かを中心に徐々にもうやらんなってる学生が俄かに増えてきているとか。

 

そうやねん、それで良いねん。

そういう、手に入れて終わり、だけじゃない、だけじゃあかん何かっていうのを、

日本にそういう人となりや温もりや情緒が残ってた時代のものを、今一度ちゃんと考え直さんならん所でさ、

そこは『流行り』とか『廃り』とかそういう浅はかなもので計ったらあかん気がしてさ。

日本のカルチャーに触れる上で避けて通ったらあかんもの、もれなく皆が知っておくべきことよな。老い若きじゃなく皆みんな、全員。

ロボットや機械が作ったものじゃない、紛れもない人間の手で出来てる物の、アナログにしか絶対ない良さ。

人の手、という、重みやありがたみ。

俺自身流行のものが嫌いといえども

こういう風潮が、現代の俗にいう言わば新たな『流行り』『トレンド』、『ニュー・ウェーヴ』となることには寧ろ光栄の極みというか

どんどん来い』、ジャンジャン来やがれぐらいよ、正直。

天邪鬼の痩せ我慢でも何でもない。嘘偽りない、忌憚無い気持ち。ガチ本音。

世間的にこうやって何年も前に忘れ去られしものが現代にジワジワ普及しだすかなり前から、古いものには常に目をつけてきた俺的には、逆に嬉しい。

 

でもまさに今、そうやって「なるほどなるほどな」って、俺のこの言ってることに相槌打ちつつ人の言葉親身になって見て聞いてよくよく咀嚼して理解してる、ふりしながら、そんな今、現在でも、テメェのその右手はスマホで楽々チャチャッと着うたを落としながら今俺のこの文を読んでたりするのも中には居んだろ。

 

そういう奴もう知らね。勝手にしろ。

こっちから何も言うこたぁねえ。利便性に冒されとけ、やるならとことん、ズブズブ煮えて発酵するまでよ。

 

取り残されちまえ。終電逃したヘベレケ野郎のようにな。